September 23, 2012
アフリカの健康問題。
とにかく肥満が多いのです。日本ではまず見ないようなドーンとでかい腰回りの人、デブ特有の足を引きずるような歩き方をする人が多い。アフリカの話ですが。そんなサイズの服はどこで売ってるの?自作?って聞きたくなる人が多いです。聞かないですけど。
アフリカ域内の地方路線の飛行機とかに乗ると、「この人の隣になるのはイヤだな。」というデブが5人に1人はいる感じ。そもそもエコノミークラスのシートの幅にそのお尻が収まるのか?という人もそんなに珍しくない。
東アフリカ、ウガンダあたりだと太っていることが女性の魅力という感覚もあって、母が娘を無理矢理太らせるのが虐待ではないかと問題になったりしているし。西アフリカ、ガーナでも、女性の鎖骨が見えるのはみすぼらしいという美意識があると聞きました。
日本人と違って太っても顔の表情が脂肪に埋もれてしまうことがないのも、太ることに抵抗が少ない理由かと思ったりしてしまう。
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Global FundやBill and Melinda Gates財団がアフリカで熱心に取り組んでいるのはHIV/AIDS、マラリア、結核等の感染症だったり、母子保健の改善だったりして、たしかにそれはアフリカの人々の生存を脅かす深刻な問題なのですが、実は「非感染性疾患(non-infectious diseases)」とやんわり呼ばれている症状も意外に深刻になってきてます。有り体に言ってしまえば「非感染性疾患」って肥満、高血圧、糖尿病等の生活習慣病、そしてガンのことなんですが。
元々肥満をそんなに悪いこととは思っていないし、日頃の自身の健康管理についての意識も高くない人々が多いので、今後益々非感染性疾患、生活習慣病の問題は深刻化するんじゃないかと心配です。
(余談ですけど、「健康管理についての意識が低い」っていうのも顕著。うちの事務所のアフリカ人の現地人スタッフにしても、それなりの給料をもらっていて、しかも保険に加入すれば保険料の半分は事務所負担もあり得ると言っているのに、保険に入らない。で、病院に行った時には症状が重篤になって即入院、診療費が払えないので何とかしてくれと泣きついてくる。そんなことばっかり。。。)
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アフリカだと「食糧危機」というイメージがありますが、実は食料が本当に足りていないところはそんなに多くないんじゃないかと思いますよ。本当に食料不足だとそれは「飢饉」と呼ばれるわけですが、今だと、ソマリア・ケニア国境辺りとか、南スーダンくらいじゃないかと。大方のところは食料が足りないのではなくて、流通が悪いとか、食料はあるのに人々が買えないとかいう問題だったりする。あるいはトウモロコシの粉と油ばかり食べてて栄養のバランスが悪いとか。
しかしまあ、都市部と郡部の生活の差がものすごいというのもまたアフリカの現実。肥満が多いのは都市部の話で、田舎に行くと全然違った様子が見られる。カロリー自体が足りてないというところは相当田舎に行っても滅多にないので、田舎に行けばみんなやせ細っているなんてことはまずないんですけど、タンパク質が不足してお腹がポコンと出てる子どもたちはいたりする。
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都市部の「非感染性疾患」、要は肥満が多いという問題が顕在化したガーナでは、政府が「運動をしましょう、野菜を食べましょう」キャンペーンをやったことがあります(今でもやってるのかな?)。ところが、田舎に行くと「肉なんて滅多に食べることができません」、「毎日数キロメートルも離れた水場に歩いて水汲みに行ってます」という生活が普通なので、「運動をしましょう、野菜を食べましょう」と言われても「?」です。田舎では衛生的な水、栄養のバランスの方が重要課題なのでした。
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アフリカの保健・医療分野の問題といっても、もちろん感染症対策、母子保健は重要だけれどもそれだけじゃ片付かないこともある、というのはまあ当たり前の話ですね。
September 10, 2012
マサイマラの真ん中に行ってみた。
アフリカ暮らしも5年になり、そろそろ日本に帰国しなくてはという身の回りの状況になってきたので、アフリカ卒業旅行と勝手に銘打って9月の遅めの夏休みをケニアのマサイマラ国立保護区で過ごしてきました。マサイマラ2泊、ナイロビ1泊の旅です。
マサイマラとはどういうところか、どんな旅が出来るのかはネットで調べれば詳しく出てくるし、旅行記もいろいろと書かれていると思うので、私がまたここで繰り返すのは若干気が引けるんですけれど、それでもやはりスゴイところだったので、少しだけ報告させてください。
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マサイマラはケニア南西部の野生保護区で、タンザニアのセレンゲティと接しています。で、ウィルドビースト(「ヌー」とも呼ぶけど、英語では「wildebeest」の方が通じ易い。「wildbeast(ワイルドビースト)」と綴ってしまうことも。)とシマウマの大群が季節ごとに変わる降水や草の生育具合によって、このマサイマラ=セレンゲティの領域を大移動しています。これが世界でいくつも知られている動物の「Great Migration」の中でも一番有名なものと言ってもいいでしょう。
7月〜9月はこの大移動がマサイマラに差し掛かる時期で、Mara川をwildebeestの群れが渡る壮観な光景も見られたりします。
実は、2008年末〜2009年の年末年始休暇をセレンゲティで過ごしたことがあって、その時期は動物の大群はセレンゲティ側にいて、うんざりする程のwildebeestやシマウマを見たのですが、あれから3年半。今度はマサイマラ側で見てみようと思ったわけです。
(ちなみに、セレンゲティにはビデオカメラを持って行ってました。そのときの様子はこちら。:http://www.youtube.com/watch?v=sg8Hr_Dq3Hg&feature=plcp )
首都ナイロビから約300km、小型機で40分程。地面を整地しただけの滑走路に降り立つと、そこはいきなり野生の真ん中です。滑走路の横にゾウがいたりしますし。
Olkiombo滑走路横の「免税店」。
泊まった宿は滑走路から車で数分。その宿にあった表示板。
予想どおり、野生動物はワンサカいました。
そして、百獣の王、ライオン。子どもライオンがかわいい。(雄ライオンはだらしない恰好の写真ばかりなのでブログに載せるのは止めました。)
チーターの親子。右が母親、左が大きくなった娘。チーターはBig Catの中では縄張りをあまり持たない種類で、草食獣の移動にくっついて回ることが多いそうです。
今回はすごく運が良くて、チーターの狩りの瞬間を目撃できたんです!チーターがインパラの子どもを追い回す肝心の瞬間は写真が追いつきませんでしたが、テレビでしか見たことないあのチーターの滑るような走りが見られました。写真はインパラの子どもを仕留めた後。
母親チーターが狩りをしていたんですけど、一度捉えたインパラをわざと放したんですよね。ちょっと弱らせてから、娘に襲わせる。狩りのトレーニングをさせる行動なんだそうです。ガイドの人も滅多に見ないシーンだと言ってました。
腐肉をあさるハゲワシ。昔、テレビで「動物は遠くからでも腐肉の臭いを嗅ぎ付けるのです。」というようなことを言っていたのを覚えていますが、実際に行ってみると、人間にだって腐肉の臭いは結構遠くからでも分かるもんです。
地味な写真ですが、実はかなり稀なサイ。Big Catの類よりも余程希少なんです。マサイマラでも数が限られているらしい。繁殖が遅いこと、生息範囲が限られていること、密猟の対象になっていることが理由です。私も、繁殖地で保護されているサイは見たことがあるんですが、野生のものは初めて見ました。それもちゃんと角があるやつ。角が漢方薬の材料として珍重され、角のためだけにサイが密猟者に殺されてしまうので、あらかじめ角を切り落として密猟のターゲットにならないようにされているサイもいるんです。
Mara川をwildebeestの大群が渡るのを見ようと待ち構えている人たち。結局この日、この場所では川渡りは見られず。むしろ、この4WD車が川を渡っていました。
それから、レパード(ヒョウ)。茂みの中にいることが多いので、いつも見られるとは限らないレアなBig Catです。私らは運が良かったですよ。
今回訪れた場所は、マサイマラ野生保護区の真ん中あたり。欧米では何度も再放送されているらしいBBCの「Big Cat Diary」というドキュメンタリー番組が収録されているところでもあり、National Geographicの取材が入っているところでもある、というエリア。野生の豊かさが実感できる場所でした。ジンバブエやボツワナのサファリは、乾期には乾燥して厳しい環境になるのに野生動物が息づく、というところが多く、自然の豊かさと厳しさを感じるのですが、マサイマラ、セレンゲティには川が流れ緑が深いエリアもある。肉食獣を頂点とする野生の掟の厳しさはあれど、草原は豊かでした。やっぱり、来てみないとこういう違いは分からないもんです。
そして、泊まった宿も素敵でした。「テント」なんですが、大きなベッドに趣味のいい調度、バスルームもお洒落な感じで。食事もおいしく、ホテルのスタッフの対応もプロフェッショナルでした。さすが国際的に認知されたサファリだな、という感想です。人里離れたサファリだからといって、着の身着のままでタフなテント生活をするわけじゃないんですよ。
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私がその宿に泊まっていた唯一の日本人、経営者が同じ隣の宿に日本人夫妻が一組、あとは欧米系、インド系の宿泊客ばかりだったので、宿の人に「日本人客は来る?」と聞いてみたんです。そしたら「来ないことはないが多くはない。」との返事。日本人はどこでも旅行しているし、ケニアのサファリに来る人も少なくないだろうと思っていたのでさらに聞いてみると、日本人は「DoDo World」のツアーでマサイマラの東の方にたくさん来ているとのこと。なるほど。
「DoDo World」という名前は聞いたことある。たぶん、ホームページはこれ。たしかに、勝手の分からない海外旅行、ましてアフリカのサファリとなると代理店に頼むのが安心ですよね。さらに英語が苦手な日本人となると、代理店を通して日本語でのサポートが付く旅にするしかないかも。
ただ、ちょっと英語が出来るなら、インターネットのこのご時世、自分で手配するのも悪くないですよ。ほぼ全ての宿はネットを通じて予約できるし(というか、世界中からお客さんが来るのにネットを通じて予約できない宿は存在しないのと同じ)、飛行機やその他の移動手段も予約できる。若干手間はかかるかもしれないけど、自分の都合や好みに合わせて手配ができます。
今回のマサイマラ旅行もネットで行きたいエリアや宿を検討して、懐具合と相談しながらの自己手配旅行でした。すごくいい旅先だったのに日本人があまり来ないと聞いてちょっと残念だったので、自己手配の個人旅行をオススメしておきますね。
あ、その場合、予約はホテル比較サイトのようなページからではなくて、泊まろうとしているホテルの公式サイトから予約するのが吉。泊まる予定のホテルと直接やり取りした方が何かと確実ですよ。「最低価格保証!」などという予約サイトでちょこっとケチったばかりにトラブルになったりしたら折角の旅行気分も台無しですし、中間業者が入るとホテルへの質問や要望も連絡しにくい上にトラブルがあった時の解決もややこしくなりますからね。
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